2020.08.13
「NASA」「つみたてNISA」「iDeCo」
長期の視点でお金を増やそうという場合、運用で増えたお金、運用益に毎年課税されるかされないかで最終的な運用成果は大きく変わってきます。
毎年5万円を30年間積み立てると積立元本は1800万円になります。これを金利5%で運用できた場合はおよそ3,986万円になります。しかしこのケースは税金を考慮していません。言い換えれば運用益に課税されない非課税で運用できたケースです。
ではこれが銀行にお金を預けた場合と同様に毎年20%課税された場合はどうなるのかというと30年後には約3,365万円となってしまいます。およそ600万円の差です。同じ金利で運用できたのにこれだけの差が発生するのですね。こんな差が出るのであれば誰もが非課税の投資を考えると思いますが、実際にはどんな制度があるのか確認してみましょう。
老後資産形成制度の代表的なものを3つご紹介します。
「NISA」「つみたてNISA」「iDeCo」の3つです。
NISAとつみたてNISAは選択制ですのでどちらかしか活用できません。
まずNISAについてです。
NISAは2014年に始まった税制優遇制度です。とても話題になり2014年3月末時点では口座開設数650万件までのぼりました。
主なポイントは投資金額は毎年120万円まで、保有期間は投資した年から5年間、期間中運用によって得られた利益は非課税の3つです。
ただし投資した資産は5年以内に売却しないと一般口座に移されます。その後売却して利益を上げると通常通り20%の税金が掛けられますので注意が必要です。ちなみにこの制度は100万円を上限としてスタートした制度ですが2016年1月から120万円に上限が引き上げられています。
次につみたてNISAについてです。
こちらはNASAとは別に2018年からスタートした制度です。
NISAは一時金を投入するのに適した制度となっており、そのため運用に憶病になり口座を開設しただけで実際の運用までは至らない方が多かったようです。そういった状況の中でより長期、分散といった視点で投資できる制度としてつみたてNISAが導入されることになりました。
主なポイントは投資金額は毎年40万円まで、保有期間は投資した年から20年間、期間中運用によって得られた利益が非課税の3つです。
年間の投資上限金額が40万円とNISAよりも少額とはなりますが非課税期間は20年と長期にわたって保有することが出来ます。ただし対象商品はNISAより少ないのが現状です。国が定めた基準を満たした長期分散投資に役立つと思われる投資信託だけが対象です。
NISAとつみたてNISAは選択制。つまりどちらかを選ばないといけませんのでそれぞれのメリットデメリットを考慮して選ぶ必要があります。
iDeCoですが、これは個人型確定拠出年金制度の愛称です。
こちらはセカンドライフ資金に絞った資産形成手法で2017年から対象者が拡大して20歳以上の方であれば原則すべての方が加入できるようになりました。
金額に上限はありますが支払った掛け金の全額が所得控除の対象となります。そして運用して得られた利益には税金がかかりません。さらに一時金として受け取った場合には退職所得として受け取ることが出来ますし、年金として受け取った場合は公的年金等控除額の対象となります。
ただ一つ注意点を上げるとすれば、あくまでもセカンドライフ資金のための年金ですから原則として60歳よりも前に払い戻すことはできません。このような特徴を踏まえて検討する必要がありますね。
NISA、つみたてNISA、iDeCoに共通した特徴として投資先は自分で選ぶ必要があります。選んだ投資先の運用結果によっては損失が発生する場合もありますので注意が必要です。
最後に変額保険についてもふれておきましょう。
死亡保障が必要な方には生命保険も長期の資産形成を考える際には検討材料となるはずです。
特に変額保険は現在の低金利下での資産形成においてニーズの高いものとなっています。
変額保険の主な特徴は生命保険としての本来の機能である死亡保障があるので、加入したその日から万が一の場合の保険金額が満額保障されるということ。
お支払いいただいた保険料の一部が特別勘定で運用されるため将来の資産形成も期待できるということ。
そして支払った保険料の一部が生命保険料控除の対象になるということ。
以上の3つです。
変額保険の解約払戻金や満期保険金は払込保険料を上回った場合は一時所得の対象となります。
またNISA、つみたてNISA、iDeCoと同様に運用結果によっては損失が発生する場合もありますので注意が必要です。