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為替についての基礎知識

そもそも為替とは何のことでしょうか?

為替とは現金の移送を行わず、遠くにいる人とお金をやり取りする方法のことです。

そのうち国内で行われる為替取引のことを内国為替と言い、皆さんが金融機関を通期て行っている銀行振込や口座振替なども内国為替取引の一種です。

それと比べて国境を越えて通貨が異なる国同士でお金のやり取りを行うことを外国為替といいます。

外国為替は異なる通貨の取引となります。そのためにはどの通貨で取引を行うかを決めて通貨を交換する必要があります。

この通貨を交換する際の比率のことを「為替レート」と言います。

為替レートには固定相場制と変動相場制があります。

日本円は変動相場制を取っています。

例えば1ドル100円という為替レートだったとします。

これは1ドルを100円と交換することが出来ますということを意味しています。

そして変動相場制の通貨の為替レートは外国為替市場の取引によって常に変動しています。

円高円安という言葉を聞かれたことがあると思います。

例えば1ドル100円が120円になった場合のことを円安(ドル高)といいます。逆に80円になった場合のことを円高(ドル安)と言います。実際にお金を交換することを考えてみましょう。

1ドルを100円で購入したとしましょう。しばらくして円に戻すことにしました。

その時の為替レートは1ドル120円、つまり円安になっていました。

1ドルは120円と交換しますので120円が手元に入ることになります。

もともと100円持っていたのに通貨を交換したことによって120円に、つまり20円の利益が発生しました。

逆に1ドル80円、つまり円高になっていたとしましょう。

1ドルは80円と交換しますので80円が手元に入ることになります。

もともと手元に持っていたのは100円なのに通貨を交換することによって80円に、つまり20円の損失が発生してしまいました。

それでは為替の変動についてのまとめです。

為替レートは外国為替市場で取引され、常に変動しています。

そのため外貨を購入する時と売却する時の為替相場の変動によってはこのように損失が発生したり利益が出るときがあります。

これを為替リスクと言います。

では実際に取引に使用される交換比率、レートはどのように決められているのでしょう。

外国為替市場には二つの市場があります。

ひとつめはインターバンク市場と呼ばれる銀行同士の取引が行われる市場です。

市場というと特定の建物や場所をイメージされるかもしれませんが実際には取引所のような場所はありません。

売り手と買い手が直接通信機器などを使用して取引の数量や価格を決定し、決済が行われています。

テレビのニュースなどで今日の外国為替市場はというのを聞かれたことがあると思いますがこれはインターバンク市場での為替レートを指すことが一般的です。

もう一つは銀行が個人や一般企業と取引を行う、対顧客市場と呼ばれる市場です。

私たちが実際に取引をするのはこの対顧客市場になります。

対顧客市場での為替レートは金融機関によって所定の時刻に対顧客電信売買相場仲値(TTM)と呼ばれるその日の為替レートが発表されます。個人や一般企業が取引をする場合にはこのTTMに所定の手数料を加算したレートが適用されます。

仮に手数料が50銭だった場合、円から外貨に交換する場合TTM+50銭で取引されます。

例えばTTM100円の場合には100円50銭のレートが適用されます。

逆に外貨から円に交換する場合はTTM-50銭、つまり99円50銭のレートが適用されます。

それではなぜ為替レートは変動するのでしょうか?

為替レートが変動する主な理由は需要と供給のバランスと言われています。

ドルよりも円が欲しいという人が増えれば円の価値が上がり、円高・ドル安になります。

逆に円よりもドルが欲しいという人が増えれば円の価値が下がり円安になります。

このように一般的に為替レートは相対する通貨同士のいわば人気投票によって変動すと考えていいでしょう。

為替相場に影響を与える要因としては様々なことが考えられます。

まず国際収支です。

国際収支というのは外国との間で行われた様々な経済取引をまとめたものです。一般的に国際収支が黒字ということはその国には売れるモノやサービスがたくさんあると考えられます。そのため国際収支の黒字額が大きい国、または黒字額がこの先大きくなりそうな国の通貨は買われやすくなると考えられています。

次に金利です。

金利の高い国は外国からのお金を集めやすく、その国の通貨は買われやすくなるといわれています。

そして景気です。

その他にも政権交代、要人の発言、異常気象、天災、戦乱、テロ、投機的な要因など為替が変動する要因としては様々な理由が考えられます。

このように為替相場の変動は様々な要因が絡み合って複雑に動きます。

為替の変動を長期で正確に予想することは実はプロにも極めて難しいといわれています。

そのため断片的な情報の提供や安易な相場予測などをお客様にお伝えすることは絶対に控えるべきですね。

為替リスクについて具体的に見ていきましょう。

アメリカ国内において米ドルを運用する場合をイメージしてみてください。

米国短期財務省証券という米国財務省が発行する償還期間1年以内の短期債券に投資した場合は、償還時の受取額は決まっていますのでリターンがマイナスになることはほとんど考えられません。

米国株式に投資した場合は、リターンが明らかに大きくなりますがマイナスになることもあります。

短期債権よりも株式のほうがリターンもブレ幅、つまりリスクも大きくなります。

一方日本円を米ドルで運用した場合はどうなるでしょうか?

米国短財務省証券に投資して日本円に戻した場合、ブレ幅、リスクがかなり大きくなってしまいました。

同様に米国株式に投資した場合、こちらもリスク、リターンとも大きくなりましたが基本的な性格は大きく変化していません。

このように本来はリスクが少ないはずの運用方法で、ドルと円での結果が大きく変わってしまっています。

原因は何でしょうか?

原因は為替です。

日本円を外国の通貨で運用する場合、この為替の影響を必ず受けることになります。

では為替の影響によって金融商品のリスクとリターンがどのように変化するのかを確認してみましょう。

縦軸をリターン、横軸をリスクとします。

米ドルで米国短期財務省証券に投資した場合、リターンは大きくないですがリスクもほとんどありません。

米ドルで米国株式に投資した場合は、リスクもリターンも大きいです。

ところが円をもとにドル建てで運用し円に戻す場合、状況は大きく変わってきます。

米国短期財務省証券はリスクが明らかに大きくなっています。その原因が為替の影響です。

これが為替リスクと言われる、外貨建ての金融商品を購入する際に絶対に知っておいていただきたいリスクです。

日本の預貯金よりも少し高い金利を取りに行くかわりに、大きなリスクを取ってしまうということです。

為替レートの動きがプラスに働くのかマイナスに働くのかタイミングによって大きく変わってきます。

外貨建ての金融商品を購入する際には金利だけを見るのではなく為替リスクがあるということ、そしてもともとのリスクが小さい資産ほど大きな影響を受けるということをぜひ知っていただきたいと思います。

分散投資というのは異なる資産に投資することでリスクを極力抑えるために技術です。

資産を成長させるエンジンはやはり株式です。

長期における資産成長の期待を取りつつ債券を組み合わせることで投資期間中の株式の上昇、下落リスクを低減することが出来ます。もちろん株式市場も為替レートも日々変動しているため、計測する期間によってリスクリターンの数値は変化します。特にリターンに関しては為替が有利に働く場合も不利に働く場合もあります。

ですがもともとのリスクが小さい資産ほど為替の影響でリスクが大きくなる傾向は変わりません。

世界の伝統的な投資資産、株式や債券に分散して配分することで一般的に安定した投資成果が期待できます。

最後に為替リスクについて株式への投資リスクとの違いを考えてみたいと思います。

個別の企業やある特定の国だけを取り上げた場合には株価の長期的な予測は難しいものです。

しかし世界全体の株式市場を考えた場合には、人口増加に伴う経済規模の拡大によって、短期的には上昇、下落を繰り返しながらも長期的には成長することが期待できます。そのため一般的に株式は成長資産と呼ばれています。

株式への投資はすべての参加者が同時に報われる可能性があります。

それに対して為替レートはあくまでも2国間の通貨の交換レートです。

つまりどちらかが高くなれば確実にもう一方は低くなります。

そのためどれだけ長期的な視野で考えたとしても参加したすべての投資家が同時に報われることはありません。

これが外貨へ投資する際の為替リスクです。

外貨建てへの投資は株式への投資とは全く異なること、為替レートそれ自体は長期的な成長を期待するものではないことがご理解いただけたかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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