大記録も、一打ずつ――申ジエの4冠から考える、続ける力
日本女子オープンを制し、永久シードと史上初の公式競技4冠を達成した申ジエ選手。その勝利から、目標と日々の積み重ねについて考えます。
二つの悲願をかなえた30勝目
2026年10月4日、宝塚ゴルフ倶楽部で行われた日本女子オープンで、申ジエ選手が初優勝しました。桑木志帆選手と通算11アンダーで並び、プレーオフの3ホール目をバーディーで制した勝利です。
JLPGAの公式発表によると、この優勝で国内ツアー通算30勝となり、永久シード権を獲得しました。同時に、日本女子オープン、ワールドレディスチャンピオンシップ、日本女子プロゴルフ選手権、ツアーチャンピオンシップという四つの公式競技をすべて制した、史上初の選手になりました。
記録の大きさに目を奪われますが、私が考えたいのは、そこへ届くまでの一打です。大記録がかかった場面でも、実際に向き合うのは、目の前のボールと次のショット。ゴルフには、目標の大きさと今できることを切り分ける場面が何度もあります。
大きな目標ほど、今日の行動を小さくする
私たちも、仕事や暮らしで大きな目標を立てます。会社を成長させたい。新しいことを学びたい。体力を取り戻したい。ところが、遠いゴールばかり見ていると、今の自分との差が気になって、動き出せなくなることがあります。
そんなときは、今日できる行動まで小さくしてみる。資料を一ページ読む。相談の約束を一つ入れる。練習で一つの課題に集中する。すぐに成果が見えなくても、次の行動が具体的なら、前に進みやすくなります。
申ジエ選手の心の中を、外から決めつけることはできません。ただ、この勝利を自分の暮らしに引き寄せるなら、大きな目標を持ちながら、目の前の一つに取り組む。その両方を大切にしたいと思います。
続けることと、変えること
続ける力というと、同じことを我慢して繰り返す姿を想像しがちです。でも、うまくいかないときに方法を見直すことも、続けるための大切な仕事です。
ゴルフなら、練習量だけでなく、何を練習するかを考える。仕事なら、頑張る時間だけでなく、お客様に伝わる内容になっているかを見直す。目標を大切にすることと、やり方を変えることは両立できます。
もちろん、続ければ誰もが大記録を達成できるわけではありません。体調や環境、使える時間も人によって違います。結果だけで自分を評価せず、無理なく続けられる方法を探すことにも価値があります。
自分の次の一打を決める
このニュースを読んだ今日、先延ばしにしていることを一つ思い浮かべてみてください。そして、それに向けて今週できる行動を一つだけ決める。目標を立て直すのに、大きな節目を待つ必要はありません。
勝利の場面は華やかです。一方で、私たちの日常にあるのは、誰にも見られていない練習や、地道な準備の時間です。そうした時間を軽く扱わずにいたい。今回の大記録から、私はそんなことを考えました。
30勝という数字の手前にも、最後の一打の手前にも、たくさんの時間があります。自分の目標がまだ遠くに見えていても、今日できることはある。次の一打を、落ち着いて選んでいきたいと思います。
- JLPGA|申ジエV 永久シード&公式競技4冠達成(2026年10月4日公表/2026年10月5日確認)
※大会結果と記録はJLPGAの公式発表に基づきます。目標や継続についての考察は筆者の見方であり、選手ご本人の心理や練習方法を説明したものではありません。
