いつもの道が危険になる日――冠水道路に入らないための備え
国土交通省が10月6日に公表したアンダーパスの冠水事故防止指針。『冠水する前に止める、入らせない』という考え方から、家族や職場でできる備えを考えます。
毎日通る道にも、雨の日の顔がある
通勤や買い物で通る道は、何度も走るうちに慣れてきます。曲がる場所も、到着までの時間も分かる。だからこそ、大雨の日にも『いつもの道だから』と考えてしまうかもしれません。
国土交通省は2026年10月6日、『アンダーパスにおける冠水事故防止に向けたガイドライン』を公表しました。道路や鉄道などの下をくぐる低い道路では、大雨による冠水が人命に関わる事故につながっています。発表は、8月の千葉豪雨などで人的・物的被害が起きたことを踏まえたものです。
被害に遭った方の判断を、後から簡単に評価することはできません。今回、私が注目したのは、運転者の注意だけに任せず、危険な場所へ入る前に止めるという考え方です。
排水するだけでなく、入らせない
指針では、排水設備による冠水防止だけに頼らず、冠水のおそれが高まった段階での事前の通行規制、冠水時の速やかな規制、車両の進入防止、排水機能の確保を組み合わせる方針が示されています。
一つの対策が十分に働かない場合も、別の対策で事故を防ぐ。設備に異常が起きたときには、安全を優先する状態へ移る。難しい言葉を使わなくても、『何重にも備える』と考えると分かりやすいと思います。
これは道路を管理する側の指針です。公表されたからといって、全国のすべてのアンダーパスで新しい設備や運用がすぐに整ったという意味ではありません。利用する私たちも、雨や通行規制の情報を確かめる必要があります。
家族で決めておきたい、別の道と連絡先
ここからは、日々の暮らしに引き寄せた私の考えです。まず、普段の通勤路や送迎の道に低い場所がないか、平常時に確認しておく。次に、そこを通らずに行ける経路や、移動を見合わせたときの連絡先を考えておく。この二つだけでも、雨の日の判断を助ける準備になります。
通行止めの表示や規制がある場所へは進入しない。冠水が見える道路で『自分の車なら通れるだろう』と試さない。到着を急ぐ予定があっても、安全を優先して予定を変えられるよう、家族や相手先と話しておきたいところです。
安全に通れるかを、水深の数字だけで決めることも避けたいと思います。道路の状態や車の条件は異なります。本記事で『何センチまでなら大丈夫』という基準を示すことはしません。最新の気象情報と、道路管理者や自治体の案内を確認してください。
職場の備えにも、急がせない約束を
仕事で車を使う職場なら、運転する人に『気をつけて』と伝えるだけでなく、迂回や遅刻、訪問の延期を誰に相談するかも決めておくとよいでしょう。安全のために予定を変えた人が、説明に困らないことも大切です。
保険は、事故の後の経済的な負担に備える手段です。その前に、事故に遭わないための道や時間の選び方も、お客様と一緒に考えたいと思っています。今度の大雨を待たず、いつもの道を一度見直してみませんか。
慣れた道でも、大雨の日には条件が変わります。別の道を考えておくこと、危険な場所へ進まないこと、遅れるときに連絡できること。家族や職場でできる小さな準備から始めたいと思います。
- 国土交通省|アンダーパスの冠水事故防止に向けたガイドラインを策定(2026年10月6日公表/10月7日本文確認)
※情報の基準日は2026年10月7日です。指針の概要は国土交通省の公式発表に基づき、家族・職場での備えは筆者の考えです。個別の道路の通行可否は、現地の規制と道路管理者などの最新情報に従ってください。本記事は車両の冠水時の脱出手順や、保険金の支払可否を説明するものではありません。
