物価の数字と、財布の実感――日銀調査から考える暮らしのゆとり
日銀の9月調査では、物価が上がったとの回答は95.5%、暮らしのゆとりがなくなったとの回答は54.4%。今の実感と将来の見方を分けて家計を考えます。
買い物のたびに感じる変化
いつも買う物の値段が上がった。以前と同じように買い物をしても、会計の金額が違う。物価のニュースより先に、財布の中で変化を感じることがあります。
日本銀行は10月13日、『生活意識に関するアンケート調査』の第107回、2026年9月調査の結果を公表しました。全国の20歳以上を対象に、8月3日から9月4日まで実施した調査で、有効回答は1,972人です。発表されたばかりですが、10月の買い物の状況を調べたものではありません。
1年前と比べた現在の物価について、かなり上がったとの回答は68.9%、少し上がったは26.6%でした。合わせて95.5%が、上昇を感じています。
今の実感と、これからの見方を分ける
同じ調査で、1年後の物価が現在より上がると見る回答は、かなり上がる34.5%と少し上がる54.1%を合わせて88.6%でした。95.5%は現在の実感、88.6%は将来への見方です。質問が違うので、同じ数字として扱うことはできません。
これらは、調査に答えた人の感覚や見通しを表した割合です。消費者物価指数の上昇率でも、実際に今後物価が上がる確率でもありません。多くの人がそう感じ、そう見ているという意味です。
家計を考えるときにも、すでに増えた支出と、これから増えるかもしれない支出を分ける。ニュースの数字を読むことと、家庭のお金を整理することには、似たところがあると思います。
暮らしのゆとりは、家庭ごとに違う
1年前と比べて暮らしにゆとりがなくなってきたとの回答は54.4%でした。前回の55.0%から少し下がっていますが、半数を超える人が、ゆとりの減少を感じています。
ただ、調査の結果だけで、それぞれの家庭の事情は分かりません。子どもの教育費、退職後の収入、通院や介護の費用など、必要なお金は違います。ここからは、家計相談をする立場からの私の考えです。
負担を感じるときは、まず直近の支出を並べてみる。毎月続く支払いと、年に一度の支払い、近く予定している大きな支出を分けるだけでも、困っている部分が見えやすくなります。楽しみや安心を支える支出まで、急いで削る必要はありません。
保険も、負担と役割を一緒に確かめる
保険料は家計の支出ですが、病気や事故の後の生活を支える役割もあります。金額だけを見て減らす前に、何を守る契約か、保障が重なっていないか、家族や働き方の変化に合っているかを確認したいと思います。
解約や切替えによって保障がなくなる期間が生じたり、健康状態などの条件により新しい契約に入れなかったりする場合もあります。今ある契約の内容と、変更による影響を確認してから判断することが大切です。
物価のニュースを読んだら、すぐに投資や契約変更をするのではなく、我が家で必要なお金を確かめる。私たちは、その整理のお手伝いをしたいと思っています。
暮らしのゆとりは、経済の数字だけでは測れません。今の支払いと、これから守りたい生活を一緒に見直す。日銀の調査を、そんな確認のきっかけにしてみませんか。
- 日本銀行|生活意識に関するアンケート調査 第107回(2026年9月調査)(2026年10月13日公表/10月14日確認)
- 日本銀行|第107回調査・全文PDF(2026年10月13日公表)
※情報の基準日は2026年10月14日です。調査の実施期間は2026年8月3日〜9月4日で、回答者の実感・見方を示すものです。95.5%と88.6%は、公表表の該当する二つの回答割合を合計した値です。今後の物価や収入を予測・保証するものではありません。本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
