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健康・医療・介護約6分

がんになって考えた、治療費だけでは測れない生活の不安――高額療養費の見直しをきっかけに

高額療養費の見直しと日弁連の意見を整理し、治療費、療養中の収入、家族の暮らしをどう備えるかを、がんを経験した保険代理店社長の視点から考えます。

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患者になって、制度の言葉が身近になった

私は原発不明がんの治療で、手術、放射線治療、抗がん剤治療を経験しました。食事が難しくなるほどのつらさもありました。保険を説明する立場だった私が、患者として治療を受ける立場になったのです。

その経験から、病気への備えは、医療費の数字だけでは考えきれないと感じています。治療を受けながら暮らしていくこと。家族との日常を保つこと。仕事に戻るまでの時間を支えること。その一つひとつが大切になります。

高額療養費の見直しに関するニュースも、制度の説明だけで終わらせたくありません。ここでは、確認できた制度の内容と、患者を経験した私の考えを分けてお伝えします。

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高額療養費は、治療費の負担を抑える公的な仕組み

高額療養費制度は、医療機関や薬局で支払う医療費の自己負担が、定められた上限を超えた場合に、その超えた分が支給される仕組みです。上限は年齢や所得などによって異なります。公的医療保険による備えを知ることが、出発点になります。

長く治療が続く方には、直近12か月に高額療養費に該当した月が3か月以上ある場合、4か月目以降の限度額を下げる「多数回該当」という仕組みもあります。年齢や加入する制度によって扱いが異なるため、個別の適用は加入先へ確認してください。

ただし、医療費の負担が抑えられることと、療養中の生活全体が保障されることは別です。この制度は、休んだために減った収入や、家族の生活費を補う給付ではありません。

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今年8月の変更と、来年8月の変更を分けて見る

厚生労働省の説明では、2026年8月から月額の負担上限が見直され、新たに年間上限が設けられました。年間は8月から翌年7月までです。長期療養者などの負担が軽くなるケースがある一方、治療期間や所得区分によっては月額の負担が増える場合があります。

2027年8月からは、所得区分を細かくする変更が予定されています。また、年収200万円未満の課税世帯について、多数回該当の金額を引き下げると説明されています。現在の扱いと将来の扱いを混ぜず、診療を受ける時期に合った情報を見る必要があります。

厚労省は、制度を将来にわたって維持することと、長期療養者や低所得者への配慮を見直しの目的に挙げています。一律に「全員が得をする」「全員が同じように負担増になる」と受け止めることはできません。

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日弁連が懸念している、患者の暮らしへの影響

10月4日の弁護士JPニュースは、日弁連が9月25日に公表した意見書について報じました。同報道によると、日弁連は、2027年8月の所得区分見直しに関係する省令案に反対し、今年8月の変更の影響を検証したうえで再検討するよう求めています。

報道で紹介された懸念の一つは、高額療養費の利用が年1~3回の患者では、多数回該当の軽減が適用されず、年間上限の恩恵も受けにくい場合があることです。もう一つは、病気のために収入が急に減った人の生活への影響です。

これは日弁連の意見であり、国が見直しを撤回したというニュースではありません。制度を維持するための議論と、患者が必要な治療を受け続けられるかという議論。その両方を見ていく必要があると私は考えます。

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治療費と生活費を、同じ紙に書いてみる

ここからは、保険代理店を経営し、がんを経験した私の考えです。備えを整理するときは、医療費と生活費を別々に確認し、最後に合わせて考えることをお勧めします。医療費の上限が分かっても、住宅費や食費など、毎月の支出は続くからです。

まず、加入する公的医療保険で自分にどの上限や給付が適用されるか。次に、療養中に仕事や収入がどう変わるか。そして、家計の支出と、使える預貯金や民間保険を確認します。会社員、個人事業主、会社役員では、使える制度や給付の条件が同じとは限りません。

民間保険についても、加入しているという事実だけで安心せず、入院、通院、がんの診断など、何を条件にいくら受け取れる契約なのかを見てください。公的な給付と預貯金を合わせたうえで不足を考え、必要以上に保険を増やすことを目的にしない。この順番が大切です。

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収入が減ったときは、古い説明だけで判断しない

所得区分の決まり方も、加入する医療保険によって異なります。例えば協会けんぽの資料では、区分の基準に標準報酬月額が使われています。「すべて前年の年収だけで決まる」と理解しないでください。

厚労省は、療養などのために勤務時間を短縮し、報酬が大幅に減少した人について、標準報酬月額の特例的な扱いを2027年1月から開始する予定と案内しています。これは誰にでも自動的に当てはまるものと決めつけず、対象や手続きを勤務先と加入先に確認したい情報です。

負担額や給付が分からないときは、加入する健康保険の窓口や病院の相談窓口に相談してください。今使える制度と、今後始まる制度を一緒に確かめることが、生活の見通しにつながります。

病気になったときに守りたいのは、治療を受ける機会と、その人と家族の暮らしです。私は、治療のつらさを経験した一人として、お金の不安が必要な治療をためらう理由になってほしくありません。制度を正しく知り、自分の生活に置き換えて備えを考える。そのお手伝いを、これからも続けていきたいと思います。

※情報の基準日:2026年10月5日。制度の記述は厚生労働省・協会けんぽの公表資料に基づきます。日弁連の意見は報道本文を通じて確認しており、意見書原本は直接確認できていません。個別の負担額や給付、将来の変更の適用は、年齢・加入制度・所得区分・診療月などにより異なります。加入先と勤務先へご確認ください。私見は医療・法律上の個別助言ではありません。民間保険の給付は各契約の約款・条件に従います。

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