『ドパガキ』って何?――知らない言葉を責める前に
高校生の秋の調査で話題になった『ドパガキ』。強い響きの言葉を医学的な診断と混同せず、若者の自虐と実際の困りごとを分けて、親子の会話を考えます。
初めて聞くと、少し驚く言葉
『ドパガキ』。初めて目にすると、何のことか分からないうえに、少し乱暴な響きを感じるかもしれません。若者の言葉には、字面だけでは伝わりにくい使い方があります。今回は、意味を知ることと、人を決めつけることを分けて考えたいと思います。
渋谷トレンドリサーチが10月2日に公表した秋の調査では、『ドパガキ』が『今流行っている言葉』の2位、14.0%でした。対象は15~18歳の高校生男女200人、調査期間は9月15~21日で、WEBアンケートによるものです。複数回答の調査であり、全国の高校生の14%が使っているという意味ではありません。
自分を笑う言葉として紹介されている
同調査では、短い動画やゲームなど、強い刺激のあるコンテンツに夢中になる自分や周囲を、自嘲的に表すネットスラングとして説明されています。語源には『ドーパミン中毒』という表現が含まれますが、この記事では言葉の成り立ちとして扱います。脳の働きや病気を説明する根拠にはしません。
調査には友達同士で冗談として使う例も紹介されています。ただ、同じ言葉でも、親しい相手とのやり取りと、知らない人に向けた発言では受け取られ方が違います。流行しているから、誰に使ってもよい言葉になるわけではありません。
言葉だけで『依存』と決めつけない
『ドパガキ』は、この調査で取り上げられた流行語です。本人がそう言ったというだけで、依存症などの医学的な診断がつくものではありません。反対に、冗談で言っているから何も困っていない、とも決められません。言葉と生活の様子は、別々に聞いてみる必要があります。
短い言葉で自分の様子を笑って伝えられることが、使われやすさにつながっているのかもしれません。これは私の見方で、今回の調査から原因として証明された話ではありません。高校生の調査結果を、大学生や若い世代全体へ広げないことも大切です。
『それ、どういう意味?』から始める
ここからは、私が親世代との会話で大切にしたいと考えることです。知らない言葉を聞いたら、まず『それ、どういう意味?』『どんなときに使うの?』と教えてもらう。最初から叱るための質問にならないようにすると、本人の使い方を知る入口になります。
そのうえで、画面を見る時間が気になるなら、『最近、寝る時間が遅くなっていない?』『自分でも困っていることはある?』と、具体的な暮らしについて話す方が分かりやすいと思います。これは会話の提案であり、診断のための質問や判定基準ではありません。
話し合いでは、子どもだけでなく大人の使い方にも目を向けたいものです。食事中についスマートフォンを見る、気づくと動画が次々に流れている。世代を問わず起こり得ることとして、自分たちの習慣も一緒に振り返る余地があります。
本人が困っているなら、冗談で終わらせない
本人がやめたいのに困っている、生活への影響を心配している。そんな話が出たときは、流行語の意味を説明して終わらせず、困りごとそのものを聞いてほしいと思います。必要に応じて学校の相談窓口や医療機関などに相談することも、選択肢になります。
新しい言葉を全部覚える必要はありません。それでも、知らないからと会話を閉じず、意味を聞いてみる。その小さなやり取りが、冗談と本当の悩みを見分けるための手がかりになるのではないでしょうか。
流行語は、相手を理解する入口にはなっても、その人を説明し尽くす言葉にはなりません。『何それ?』を、責める言葉ではなく、教えてもらう言葉にしてみませんか。
- 渋谷トレンドリサーチ|2026年秋の特大号・最新トレンドTOP10(2026年10月2日公表/調査9月15~21日/10月9日確認)
※情報の基準日は2026年10月9日です。調査対象・方法には限界があり、全国の若者全体を代表する結果ではありません。後半は筆者の会話についての提案です。流行語を医学的な診断として扱わず、個別の症状や依存の有無を判定する記事ではありません。
