若者はなぜ、映える投稿より『2秒の日常』を選ぶのか――setlogから見えるSNSの変化
約2秒の動画を友人同士でつなぎ、1日のVlogにするsetlog。若い世代が『きれいに見せる投稿』より、何気ない日常を選ぶ理由を考えます。
約2秒の日常を、友達と一緒に残す
最近、若い世代の間で『setlog(セットログ)』というアプリが注目されています。App Storeの公式説明では、毎時間のちょっとした瞬間を友達と一緒にVlogに残すアプリと案内されています。
使い方は、決められた時間帯に約2秒の短い動画を撮り、同じグループの友達と共有するというものです。撮った動画は1日の終わりにまとめられ、短いVlogになります。旅行や特別なイベントだけでなく、通学中の景色、昼休み、家で過ごす時間といった普通の日常が記録されます。
2026年9月27日に日本のApp Storeを確認した時点では、ソーシャルネットワーキング分野の上位に表示されていました。ただし、ランキングや機能は変わるため、今後も同じ状態が続くとは限りません。
『映えること』に少し疲れたのかもしれない
Instagramなどでは、写真の構図を考え、色を整え、文章を推敲してから投稿することがあります。多くの人に見られる場では、失敗したくない、よく見られたいという気持ちも生まれます。
setlogは、スマートフォン内に保存した写真や動画を後から選んで投稿するのではなく、その場で撮影した短い動画を仲間内で共有する設計です。ITmediaは、加工機能やフィルターがなく、時間に追われにくいクローズドな仕組みが支持される理由の一つだと紹介しています。
ここからは私の見方ですが、若い世代がSNSをやめたわけではなく、『広く見せる場所』と『近い友達だけに見せる場所』を使い分けるようになったのだと思います。きれいな一枚より、友達が今どんな一日を過ごしているか。その距離感に価値を感じているのかもしれません。
離れていても、同じ一日を過ごせる
私は大学時代にセブ島へ留学し、その後も海外旅行を楽しんできました。離れた場所で暮らす友人とは、連絡を取ろうと思っていても、生活の時間帯や忙しさが違うため、少しずつ会話が減ることがあります。
setlogのように短い日常を共有する仕組みなら、長い文章を書かなくても『今日はこんな一日だった』と伝えられます。Business Insiderは、時差のある場所で暮らす友人同士にも使いやすいと紹介しています。
特別な出来事ではなく、普段の表情や景色を共有できることが、離れた友達との関係を保つきっかけになる。その感覚は、海外留学や旅行を経験した人にも分かりやすいのではないでしょうか。
親世代が気にしたいのは、投稿内容だけではない
親から見ると、子どもが新しいSNSを使っていると『危なくないのか』『何を投稿しているのか』が気になります。ただ、内容だけでなく、誰とつながっているか、位置や制服、家の中など個人を特定できる情報が映っていないかを見ることも大切です。
仲間内のグループでも、動画が別の場所へ転載されたり、画面を保存されたりする可能性はあります。友達から誘われても、撮影したくない場面では断ってよいこと、他人を本人の許可なく撮影しないことも、最初に確認しておきたい点です。
新しいアプリを一方的に禁止すると、子どもが使っていること自体を話さなくなる場合があります。まず『何が面白いの?』と聞き、実際の使い方を教えてもらう。そこから安全な使い方を一緒に考える方が、会話は続きやすいと思います。
新しい流行から、世代を知る
若者の流行は移り変わります。setlogも、長く定着するのか、一時的な人気で終わるのかは現時点では分かりません。
それでも、なぜ今このアプリが選ばれているのかを見ると、若い世代が人間関係に何を求めているかが少し見えてきます。大勢から評価されることより、近い友達と無理なくつながること。完成された投稿より、取り繕わない日常を分け合うこと。
流行語や新しいアプリを覚えることが目的ではありません。子どもや若い社員が何を面白いと感じているのかを知ることが、世代の違いを越えて話す入口になります。
娘たちの世代が使うアプリには、私たち親世代が気づかなかった人間関係の変化が表れています。すぐに良い、悪いと決める前に、まず何が面白いのかを聞いてみる。そんな会話から始めてみるのも一つの方法です。
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