免許返納の話をする前に、帰り道を考える――宇部・二俣瀬の新しい足
11月2日、宇部市二俣瀬地区で公共ライドシェアの実証運行が始まります。通院や買い物の移動を、本人と家族、地域でどう支えるか考えます。
車を手放した後にも、出かけたい場所はある
病院に行く。食料品を買う。知り合いに会う。車のある暮らしでは、こうした予定を自分で組み立てられます。運転をやめた後、それをどう続けるかは、ご本人にとっても家族にとっても大きな問題です。
「そろそろ免許を返したら」。心配する気持ちから出た言葉でも、言われた側には、その後の毎日が見えていないことがあります。安全について話し合うときには、具体的な移動の相談も一緒にしたいと思います。
二俣瀬で、11月2日から実証運行
宇部市は、二俣瀬地区で公共ライドシェア「ノッカルふたまたせ」の実証運行を始めると案内しています。住民ドライバーが自家用車で送迎する仕組みで、移動手段を持たない高齢者や学生などを対象にしています。
市の案内による実証期間は、2026年11月2日から2027年3月31日まで。運行日は月曜日から土曜日です。二俣瀬地区を出発地または到着地とし、地区内、厚東駅、嘉川駅周辺、東岐波地区の一部を結びます。宇部市内のどこへでも自由に行けるサービスではありません。
基本の利用料金は高校生以上200円、中学生以下は無料です。定期券を持つ人や障害のある人についても取扱いが案内されています。対象となる条件や乗降場所、時刻は、市の利用案内と添付資料で確認してください。
登録と予約が必要。電話でも申し込める
利用するには、あらかじめ利用者登録を行い、LINEまたは電話で予約します。希望に合う運行可能なドライバーがいる場合に利用できる仕組みです。予約すれば必ず希望どおりに乗れる、というものではありません。
スマートフォンが得意でない人には、電話でも予約できる点が助けになるかもしれません。一方で、ご本人が実際に使えるかどうかは、乗りたい場所と時間、登録の手順を確かめてから考える必要があります。
家族で、いつもの移動を書き出してみる
ここからは、この取り組みを受けて考えたことです。免許返納について家族で話すなら、まず一週間や一か月の外出先を書いてみると、相談が具体的になります。通院は何曜日か。買い物の荷物はどれくらいか。帰りは何時になるのか。
そのうえで、バスや鉄道、タクシー、家族の送迎、地域の移動支援を照らし合わせます。通院には使えても、帰りの時間には合わないこともあるでしょう。一つの手段ですべてを賄おうとせず、組み合わせて考えられるとよいと思います。
移動支援があることだけで、免許返納の判断が決まるわけではありません。運転の安全性と生活上の困りごとの両方を、本人の話を聞きながら整理することが大切です。
外へ出られることが、暮らしを支える
用事が済むことに加えて、自分で出かける予定を立てられることや、外で人に会えることにも意味があります。支える家族にも仕事や生活があり、毎回の送迎を一人で引き受けるのは簡単ではありません。
今回の実証運行が、どんな人のどんな移動を支えられるのか。地域の取り組みとして関心を持ちたいと思います。利用を考える人は、下記の宇部市の案内から、登録方法と利用条件を確かめてみてください。
免許の話だけを先に進めると、暮らしの不安が置き去りになることがあります。行きたい場所へどう行き、どう帰るか。そこまで一緒に考えることが、安心につながると思います。
- 宇部市|二俣瀬地区で「交通空白」解消を目的とした交通モードの実証事業開始式を開催(2026年10月20日公表/10月22日確認)
- 宇部市|北部地域(二俣瀬地区)公共ライドシェア実証事業(2026年10月15日更新/10月22日確認)
※情報の基準日:2026年10月22日。運行開始前の市の公表内容に基づきます。実証期間、対象、料金、予約・運行条件は変更される場合があります。利用前に宇部市交通政策課(0836-34-8831)または公式案内で最新情報をご確認ください。
